- 間口は暮らし方に合わせて分割し、死角を減らす
- 奥行と通路幅は扉開閉と作業姿勢で決める
- 高さは身長と家電の出し入れ頻度で最適化
- 配線・換気・耐荷重は先回りで余裕を確保
ラクシーナのカップボード寸法を決める|注意点
最初に検討の軸をそろえると、個々の寸法が整合しやすくなります。ここでは間口・奥行・高さ・通路幅・家電寸法の5点を共通言語にします。目的は「見た目→数字→使い勝手」の往復で判断を鈍らせないことです。迷ったら用途と頻度に立ち戻り、収納・作業・動線の優先度を言語化しましょう。
注意:ショールームのゆとりは実邸より広いことが多く、通路幅や扉の干渉が過小評価されがちです。図面上で開閉域と人の姿勢を必ず重ねて検討しましょう。
- 暮らしの頻度を書き出し、定位置と可変領域を分ける
- 家電外形・放熱条件・扉開方向を洗い出す
- 通路の最小値と快適値の二本立てで案を作る
- 幅モジュールを組み替えてデッドスペースを縮める
- 配線・換気・耐荷重・蒸気対策の余白を残す
- 頻出動作:取り出す→置く→調理→盛付の順路は直線か
- 可動棚の高さは食品容器と家電付属品に合うか
- 分別ゴミの仮置きと掃除道具の隠し場所はあるか
- レンジ蒸気・トースター粉とコンセント位置は合うか
用途頻度でゾーニングを切る
毎日触れるものは腰〜目線、週次以下は足元か天袋に寄せ、例外的な大型品は端部に寄せます。区分は「常設・準常設・季節」の三層で十分です。これにより、幅の配分と棚のピッチが論理的に決まります。
家電寸法と放熱条件を先に決める
レンジ・トースター・炊飯器・電気ポットはカップボードの使い勝手を左右します。本体寸法だけでなく、背面クリアランスや蒸気の抜け方向を確認し、上方や背面に逃がす設計を優先します。
通路幅は最小値と快適値の二本立て
対向のキッチンカウンターや冷蔵庫扉が交差する場合は、人の回避動作を含めた幅を基準にします。最低限のすれ違い可と、作業ゆとりの快適値を分けて検討すると合意が早くなります。
幅モジュールの組合せで端寸法を減らす
幅の既製モジュールを組み合わせ、小さな端数の隙間や不自然なフィラーを作らないようにします。結果として収納の均質化と見た目の安定感が得られます。
配線・換気・耐荷重の余白設計
コンセントは機器の合計より1〜2口多め、配線経路は掃除時に抜き差しできる余裕を確保します。棚板は可動・固定の混在でたわみを抑え、家電蒸気は上方クリアランスで逃がします。
間口とモジュール:幅の組み合わせで死角をなくす
幅は見た目と収納効率の両輪です。ラフに総幅を決めた後、標準モジュールの組み合わせに落とすと設計が安定します。端数が残る場合はトール・カウンター・ゴミBOXの幅で吸収し、扉割りのリズムを壊さないようにします。
- 食器中心:同幅引出×3構成で分類が明瞭に
- 家電多め:家電収納幅を優先し残りを均等割
- ゴミ分別重視:下段に広めの開き+内引出で両立
- 見せる収納:ガラス扉は連続幅でリズムを出す
- 冷蔵庫隣接:肩幅+扉逃げ分を必ず確保
例1:端部が細すぎて奥行が活きない → 回避:中央のモジュールを入替え端で均す。
例2:扉連続が不規則 → 回避:観る距離が長い面は等間隔優先。
例3:ゴミ箱の引出干渉 → 回避:開口深さと通路幅を同時に検証。
- 均等割:見た目安定/仕分け容易/拡張に強い
- 用途割:家電特化/動線短縮/端数調整が自在
均等割の安定感を活かす
同幅の引出しや開きを連ねる構成は、収納の分類が直感的で、将来の入替にも柔軟です。食器と日用品のゾーン分けが視覚的に揃い、整頓のハードルを下げます。
用途割で家電の居場所を先に確保
家電中心の暮らしでは、幅の一部を家電収納に明確に割きます。残りは均等割にして見た目のリズムを保てば、機能と意匠を両立できます。
端数はゴミ・掃除用具・パントリーで吸収
端数が出た場合は、開き扉による縦長収納に振ると活きやすいです。縦物収納は掃除用品やラップ・ホイルの定位置に適します。
奥行と通路幅:動線と家電扉の干渉を避ける
奥行は収納量だけでなく、姿勢と通路の余裕を左右します。通路は複合条件で狭くなるため、開閉域を図面に描き込み、人の回避動作を含めて検証します。レンジや冷蔵庫の扉・引出と対面カウンターの関係を同時に見ます。
- 通路10cm差:すれ違いのストレス体感が大きく変化
- 奥行5cm差:奥段の取り出しやすさが明確に変化
- 作業面高さ2cm差:肩・腰の負担が日次で累積
Q:奥行は深いほど得?
A:深すぎると死蔵が増えます。上段は浅め・下段は深めなど段で調整すると取り出しやすいです。
Q:通路は人だけで決めてよい?
A:家電扉と引出の開閉域を加味し、回避動作も含めた寸法で決めます。
- 開閉域:扉・引出が開いたときに占有する範囲
- クリアランス:放熱や干渉回避のための余白
- 前出し寸法:家電扉が手前に張り出す量
- 可動棚ピッチ:棚を上下調整できる刻み
- 有効内寸:実際に物が入る内側の寸法
姿勢と取り出しの快適域を意識する
奥行が深いほど収納量は増えますが、上段では手前偏重になり、奥が死蔵化します。頻度の高い物は手前2/3に収まる奥行とし、重い物は下段に逃がします。
家電扉・引出の交差を回避する
向かい合う面で扉や引出が同時に開く場面を想定し、すれ違い動作を加味した通路幅を検討します。冷蔵庫の厚みと開口角度も併せて確認します。
奥行を段で変える設計
上部は浅く、下部は深くと段差をつけると、視覚の圧迫が減り、出し入れが快適になります。調味料や小物は浅い段、鍋やストックは深い段へ。
高さ設計:カウンター・吊戸・天井の関係を整える
高さは身長と作業の種類で最適域が変わります。カウンター高さ・吊戸の下端・天井との取り合いを同時に決めると、姿勢と見た目の両立がしやすくなります。踏み台の要否や、レンジ上部の余白など、安全面にも直結します。
| 要素 | 考え方 | 快適の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| カウンター | 肘下作業が楽 | 身長×0.5±3cm | 配膳はやや低めが楽 |
| 吊戸下端 | 頭と視界の余裕 | カウンター+45〜55cm | 家電蒸気の逃げ |
| レンジ上部 | 放熱と蒸気 | 上方に余白を確保 | 面材劣化を防ぐ |
注意:吊戸を下げすぎると頭の当たりと視界の圧迫が起きます。背の低い方に合わせつつ、よく使う棚を下段に寄せる工夫が有効です。
- よく使う器具は胸〜目線、重い物は腰下へ配置
- 踏み台は固定場所を決め、取り出しやすくする
- 最上段は季節物や来客用の保管に限定する
身長からカウンター高さを割り出す
調理・配膳の作業姿勢に合わせ、身長の半分を基準にしつつ、±3cmで微調整します。複数人が使う場合は中庸に寄せ、作業内容で補います。
吊戸とレンジ上のクリアランス
蒸気や放熱の経路を確保し、面材の劣化を防ぐために上方の余白を設けます。扉の開閉角とレンジ天板の取り出し高さも合わせて確認します。
見た目と収納効率のバランス
天井まで詰めると収納量は増えますが、圧迫感が強くなる場合があります。壁色や取手の見付幅、扉割のリズムで軽さを演出しましょう。
家電収納・配線・換気:使い勝手を設計する
家電は寸法だけでなく、配線・放熱・蒸気・掃除の四点で設計します。電源位置は上部・中段・足元のバランスを取り、抜き差しやすい動線を確保します。延長コードの常用は避け、余裕口を持たせます。
- 家電外形と必要クリアランスを一覧化
- 扉開方向・引出可動域を重ねて検証
- 電源・配線経路・ケーブル長を決める
- 蒸気対策と排気の逃げを設ける
- 掃除とメンテの抜き差し経路を確保
- スライド棚:出し入れが容易/蒸気の逃げを確保
- 固定棚+深引出:重量家電向き/配線は背面経路
蒸気の直撃:上部面材の反り・劣化 → 蒸気逃し板+上方余白
配線の渋滞:掃除時に抜けない → 余裕口+側方ルート
耐荷重不足:棚板たわみ → 固定棚併用・ピッチ調整
スライド棚で炊飯器とレンジを快適に
蒸気家電はスライドで手前に逃がすと扉や面材への影響を抑えられます。蒸気の上がり道とコンセント位置をセットで決めます。
配線計画は掃除と交換を前提に
背面でケーブルが溜まると熱がこもり、掃除も困難になります。側方や底部のケーブルルートを確保し、余ったケーブルは束ねず緩く逃がします。
耐荷重と可動棚ピッチを調整
重量家電やストックを乗せる棚は固定棚を混ぜ、可動棚のピッチは容器の高さに合わせて無駄を減らします。
実測と発注:図面から確定寸法を読む
図面上の数字は壁の仕上がりや巾木、コンセントや梁の逃げで微妙に変わります。実測→指示書→承認→最終確認の順で、誤差と工事順序を吸収します。現地の床レベルや壁の直角も確認すると、据付後の調整が容易です。
- 巾木の厚みと高さで有効間口が変わる
- 壁のふくらみ・直角誤差は隙間の原因
- 梁・ダクト・スイッチの干渉を点検
- 床の不陸はアジャスターで補正
- 冷蔵庫・レンジ搬入経路も事前確認
「図面では余裕があったのに、巾木と壁のふくらみで予定の幅が入らなかった。端部の幅配分を先に可変にしておけば、見た目を崩さずに吸収できた。」
Q:先行発注は危険?
A:内装の仕上がり誤差や設備位置がズレると入らない事があります。実測後の確定を推奨します。
Q:隙間はどう処理?
A:フィラーや見切で美観を保ちますが、最小化できる組合せを先に検討します。
まとめ
カップボードの検討は、幅・奥行・高さ・通路幅・家電条件の五点で迷いを減らせます。まず用途と頻度でゾーンを定め、家電の外形と放熱・蒸気の逃げを確保し、通路は最小値と快適値で案を作ると合意が早くなります。高さは身長と作業姿勢で微調整し、配線は掃除と交換を前提に余裕口を残します。図面の数字は現場の誤差で変わるため、実測→承認→発注の順を守ると、据付時のトラブルを避けやすくなります。暮らしの導線に素直な寸法を選び、日々の動作が短くなる配置を意識しましょう。

