ここでは35坪で機能と心地を両立するために、ゾーニングと可変性、採光と収納の配分を土台から見直します。希望を積む前に「しない決断」を先に固め、後悔しない設計の手順に落とし込みます。
一条工務店で35坪の間取りを整える|図解で理解
35坪の設計は、延床の数字よりも実効容積の活かし方で差が出ます。玄関・水回り・LDK・階段の四点を直線と回遊のどちらで結ぶかを先に決めると、残りは自然に整理されます。初期段階では家具の寸法と生活時間を重ね、居場所の密度を均すことが有効です。
LDKの基準寸法と面積配分の作法
家族4人の基準を置くと、LDKは18〜22畳で安定します。ダイニングはテーブル1600×800前後を想定し、通路幅は最小でも900を確保します。
キッチンは回遊型でもI型でも、食配・片付けの直線距離が短いほど満足度が上がります。ソファは奥行900程度で壁付けか背面収納と組み、視線の抜けを作ると広さの体感が伸びます。
回遊動線と家事動線の分離ルール
回遊は便利ですが、通り道の集約が損なわれると収納が痩せます。通行と作業の動線は1か所だけ重ね、残りは交差しないように配置します。
ランドリー→ファミクロ→洗面→浴室の直列化は毎日の歩数を劇的に減らします。回遊は「帰宅→手洗い→収納→キッチン」に限定し、廊下を最短化しましょう。
玄関と土間・シューズクロークの最適解
土間の実効は奥行で決まります。ベビーカーやアウトドア用品がある場合は奥行1200以上を確保し、土間→SC→パントリー→キッチンの一直線は朝夕の渋滞を避けます。
来客動線と家族動線を扉で分けると、生活感の露出を抑えられます。換気口と採光スリットの位置は臭い対策に直結します。
収納率の目安と分散配置の考え方
35坪なら総収納率は12〜15%を目安にします。1か所の大収納より、居場所ごとの「手が届く距離」の小収納が利きます。
WICは2〜3畳でハンガーパイプを二段化し、納戸は季節置きに徹するのが効率的です。可動棚は奥行300・450の二種で揃えると転用が容易です。
将来可変の間仕切りと配線の仕込み
子ども部屋は最初に広く一室で設け、後から可動間仕切りで二室化する構成が有効です。
天井点検口の近傍に予備配線を通し、将来の照明・コンセント追加を容易にします。構造壁と非構造壁の位置を把握し、可変の余地を残しましょう。
- 玄関・水回り・LDK・階段の四点を固定する
- 帰宅→手洗い→収納→配膳の直線を描く
- ランドリー直列化と物干し位置を確定する
- 収納率12〜15%を各所に分散して配る
- 可変間仕切りと配線の余白を仕込む
- 週の家事歩数は直列化で1〜2割の削減が目安
- LDKの視線抜けが2方向あると広さ体感が増す
- 収納の分散は探す時間の減少に直結する
注意:回遊は「便利そう」に引っ張られがちです。通路過多は収納の痩せと騒音の回り込みを招きます。用途を限定して効かせましょう。
一条工務店 35坪 間取りの王道プランを分解する
王道は4LDK・総二階・南面LDKを核に、玄関回りと水回りの直列化で歩数を削る構成です。吹抜や畳コーナー、ファミクロなどの追加は、面積ではなく滞在時間で採否を決めると迷いが減ります。敷地条件別の変形も押さえておきましょう。
4LDK標準型の骨格と可変余地
1階はLDK+水回り、2階は主寝室+子ども室2〜3+WICが骨格です。LDKは回遊キッチンと横並びダイニングが相性良し。
和室は来客用途が少ないなら畳コーナーで十分です。将来のワーク化を見据え、階段ホールに可動棚とニッチを仕込むと可変性が上がります。
吹抜・スケルトン階段の是非と温熱配慮
吹抜は視覚的な広がりを作りますが、音と匂いの回り込みが課題です。
階段はリビングインでも、踏板下の吸音や建具でゾーニングすると快適です。窓は上下の換気経路を意識し、夏冬の遮蔽と日射取得を切り替えられるように考えます。
敷地向き別のバリエーションと注意点
南長辺は開口を素直に並べ、東西長辺は朝夕の光を拾います。北入りは玄関と水回りを北側に寄せ、南面を居場所に全振りします。
角地や変形地では視線の抜けと駐車動線が競合しやすいので、車の回頭と雨仕舞の優先度を上げて検討します。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
| 吹抜あり | 広さ体感と上下換気が向上 | 音・匂いの回り込みに配慮要 |
| 吹抜なし | 2階の可変性と収納が増える | 圧迫感は採光計画で補う必要 |
| 回遊キッチン | 家事渋滞が減り配膳が速い | 通路確保で収納が痩せやすい |
- 玄関→洗面→ファミクロ→LDKの直線が描けた
- 階段位置で音と温熱の境界を確保できた
- 吹抜の採否を滞在時間で判断した
- 駐車と雨仕舞の優先度を上げて検討した
- 将来の二室化ポイントを仕込んだ
「欲しいを数えず、暮らしの頻度順に要素を並べ替えたら、35坪でも余白が生まれた。視線の抜けを一つ決めると家全体が整う。」
玄関・水回り・収納を直列化して暮らしを軽くする
35坪の快適は小さな歩数の削減から生まれます。玄関→手洗い→収納→キッチンの直線と、ランドリー→干す→仕舞うの直列化で家事のムダが消えます。各所の寸法と設備の粒度を合わせると、生活のテンポが揃います。
玄関からパントリーへ一直線の“帰宅動線”
玄関土間からSCを通り、袋物や備蓄をパントリーへ落とす一直線は、散らかりの根を断ちます。
パントリーは可動棚300・450を混在させ、床からの立ち上がりを100にすると掃除が楽です。土間と屋内の気流分断も意識します。
洗面分離と脱衣の干渉を避ける配置
来客も使う洗面はホール側に独立させ、脱衣はランドリーとセットで奥へ寄せます。
室内干しは天井補強と昇降バーで対応し、アイロン台は壁付けの跳ね上げで省スペース化。動線の交差を一箇所に限定すると混雑が減ります。
2階トイレと収納のバランス
2階のトイレは寝室や子ども部屋の夜間動線を短縮します。音配慮のため壁内に吸音材を挟み、ドアは廊下面に向けます。
トイレ横の物入れにリネンと消耗品を集約し、階段付近の可動棚と役割を分けると回遊がスムーズです。
| 場所 | 推奨面積 | 主な用途 | 寸法の目安 |
| パントリー | 1.0〜1.5畳 | 備蓄・家電 | 奥行300/450 |
| ファミクロ | 2.0〜3.0畳 | 衣類一括 | ハンガー二段 |
| 納戸 | 1.0〜1.5畳 | 季節物 | 奥行450 |
| 土間SC | 1.5〜2.0畳 | 外物・靴 | 通路900 |
| 階段下 | 0.5〜1.0畳 | 掃除・紙類 | 可動棚 |
パントリーと冷蔵庫の距離は?
直線3歩以内が目安です。出し入れの往復が減り、動線が途切れません。
洗面分離のデメリットは?
壁量と建具が増えます。代わりに来客時の気まずさや渋滞が減り、衛生面での満足が高まります。
ファミクロの位置は?
洗濯動線を優先して1階に集約するか、2階の寝室群へ寄せて夜支度を短縮するかで決めます。
- 帰宅動線は「扉2枚以内・3歩以内」を目標
- 洗面分離は有効幅900・奥行600を確保
- ランドリーは物干し幅1800・ハンガー量を算定
- トイレ横収納は幅600・奥行450が使いやすい
- 廊下幅は基本900・交差点は1100を意識
LDKの採光・温熱・音を整えて居場所の質を上げる
居心地は面積よりも光と温熱と音のバランスで決まります。視線の抜け・窓の高さ・素材の吸音を揃えると、同じ畳数でも体感が変わります。生活時間に合わせて窓と照明と空調を同期させ、季節の変動をならします。
方位と窓・庇の設計の勘所
南面は冬を取り入れ夏を遮るのが基本です。窓の高さは視線の抜けを優先し、腰高・掃き出しを使い分けます。
東西面は庇や外付けスクリーンで日射を制御し、北面は安定した採光を担わせます。夜は間接照明で陰影を整え、明暗差を抑えます。
キッチン計画と居場所の重なりを整える
横並びダイニングは配膳・片付けが早く、家族の会話が続きます。
レンジフードの騒音は居場所の質に直結するため、整流板とダクト経路も考慮します。冷蔵庫とパントリーの距離を縮め、回遊の交差点を一つに限定します。
音の遮断と吸音の小技
テレビ背面に吸音性の高い素材を使い、天井・壁で反射を散らすと耳が楽です。寝室やワークスペースはドア下端の隙間や換気経路まで配慮します。
階段まわりは腰壁や建具で区切り、足音の回り込みを抑えます。
- 生活時間に合わせ窓と照明の役割を決める
- 南面は庇と外付け遮蔽で夏冬を切り替える
- ダイニングは横並びで配膳距離を短縮する
- テレビ背面に吸音・間接照明で陰影を整える
- 階段の音対策を建具と床材で併用する
- 冷蔵庫とパントリーの往復を3歩以内にする
- 夜間は照度を落として目の疲れを抑える
- 視線の抜け:端点に明るさや奥行を作る工夫
- 外付け遮蔽:アウターシェード等で日射を制御
- 整流板:フード内の吸い込み効率を高める板
- 明暗順応:照度変化に目が慣れる現象
- 残響:音が反射して残る時間のこと
①吹抜の窓に遮蔽計画が無い→外付けで対策。
②床材と家具の硬さが近く反射音が強い→ラグや壁材で吸音を追加。
③配膳動線に通行が交差→動線を一つに限定し家具を寄せる。
ワークスペースとランドリーを賢く統合する
働き方と家事の時間が重なる家庭では、ワークとランドリーを離しすぎない配置が効きます。視線を切りつつ距離を縮めると、在宅日でも家全体のテンポが乱れません。小さな余白を束ねて、用途の切替えを素早くします。
室内干しと乾燥設備の配置セオリー
物干し幅は1800を基準に、昇降バーとサーキュレーターで乾燥時間を短縮します。
電気・ガス乾燥機の排気は騒音や湿気と関係するため、扉の位置と換気の流れを確認しましょう。アイロンや畳みの台は壁付け跳ね上げが省スペースです。
回遊書斎と家族ライブラリの作り方
1.2〜1.5畳の書斎でも、視線を壁に向けると集中力が保てます。廊下や階段ホールに本棚を連ね、書類や学校プリントの拠点を共有化。
オンライン会議は扉と吸音で区切り、LANや電源を余裕を持って仕込みます。
階段下・廊下・角の有効活用
階段下は高さの低い収納やワーク台に変換できます。
廊下の幅が1100以上ある部分はニッチや可動棚で情報の拠点に。角はR収納や観葉の小スペースで視線を整え、圧迫感を和らげます。
- ランドリーは物干し・畳み・仕舞いを一室化
- 書斎は視線を壁に向けて集中を確保
- ホール本棚で家族の紙類を一元管理
- LAN・電源は将来分を予備配管で確保
- 階段下の高さに応じて用途を切り替え
- ニッチは玄関・廊下の交差点に配置
- 会議の音漏れは建具と吸音で対策
- 洗う→干す→畳む→仕舞うの順路を描く
- 物干し幅と動作の余白を同時に確保する
- 乾燥機の排気・騒音の経路を確認する
- 畳み台と収納の距離を1歩に短縮する
- 家族分ハンガーを人数×5本で常備する
| 配置 | メリット | デメリット |
| 1階ランドリー | 家事が水回りに集中し効率的 | 日当たりは計画で補う必要 |
| 2階ランドリー | 日照を得やすく乾きが早い | 水漏れ時の影響が大きい |
| 廊下書斎 | 面積を食わず共有しやすい | 音と視線の配慮が必須 |
2階プランの可変性と子ども室・主寝室の整え方
2階は睡眠と支度の場です。静けさ・暗さ・収納距離で満足度が決まります。将来の家族構成変化に備え、二室化できる大部屋・WICの位置・ホール活用を先に決めると、余白が長持ちします。
2室→3室への可変と配線の注意
最初は広い一室にして、後年に間仕切りで二室化します。
窓・照明・コンセントは将来の境界線を想定して二系統に分け、クローゼットも二か所に分散。間仕切り後の机やベッドの位置まで想像して、開口部の干渉を避けます。
主寝室とWICの寸法感と静けさ
主寝室は7〜8畳が基準で、WICは2〜3畳が扱いやすいボリュームです。
寝具の搬入経路とベッドメイクの余白を確保し、ドアの開閉で風が直撃しないように配置します。遮光・遮音の両立はカーテンと建具で調整します。
バルコニー・フリースペースの再定義
屋外干しの頻度が低い家庭では、バルコニーを小さくし室内干しへ投資する選択が現実的です。
ホールの余白を学習・物干し・収納の拠点へ転用し、昼夜の用途を切り替えます。手すりや転落対策も同時に検討しましょう。
- 可変間仕切りは入居3〜7年目の需要が高い
- WIC二か所分散で朝の渋滞が減少
- ホール活用で個室の散らかりが緩和
注意:二室化の境界は構造・配線・採光が交差します。後工事でのやり直しを避けるため、最初から二系統で仕込む設計が安全です。
子ども室の最小サイズは?
4.5畳でも成り立ちますが、収納と机の寸法計画が前提です。将来の家具入替えを想定して扉位置を調整します。
WICは夫婦共有か個別か?
朝の時間帯が重なる家庭は個別が有利です。共有の場合は通路幅とハンガー高さを二段で調整します。
まとめ
35坪の設計は、面積ではなく優先順位の明確さで差が出ます。玄関・水回り・LDK・階段の四点を基準に、帰宅と家事の直列化で歩数を減らし、視線の抜けと採光・温熱・音の整えで居場所の質を底上げします。
収納は分散し、将来の可変を配線から仕込みます。ワークとランドリーを賢く近づけ、2階は静けさと暗さと収納距離を最適化。欲しいを積む前に「しない決断」を先に固めれば、一条工務店での35坪の間取りは長く心地よく機能し続けます。

